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(1) 普通科生徒の栽培実践と教育的効果
(2) 高校生の「心の居場所」と園芸植物
(3) 学びを生かす「農業教育と園芸療法ボランティア」
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 深澤 眞悟(山梨県立農業大学校、前・山梨県立農林高等学校)
協力 日本農業教育学会

5 学びの検証

(1)学校では得ることのできない学習

 ボランティアという、社会と関わった実践活動を通して学んでいくやり方を学習ととらえ、これをボランティア学習と位置づけて実践を行っている。この活動を学習理論から考えてみる。
 認知心理学や認知科学における学習に対する見方のなかで、人間は外界と相互に関連しあうなかで知識を獲得していくというビゴツキーの社会相互作用論がある。人間を外界とのつながりで見る、社会と個人の相互作用によって知識の社会的構成が成り立つという考えである。学校外での連携教育は、当然のことながら閉鎖的な学校=学校知とは異なる場面での学習であり、このような外界との関わりの中で学校では得ることはできない知識と学習の強化を受けていることになる。学校外での連携教育は、自分を含む世界の中とのさまざまな「つながり」を発見していく過程ととらえることもできる。ボランティア学習は、ボランティアのもつ3原則(公益性・無償性・自発性)の中で、自発性がとくに学校教育のもつ強制面との矛盾を引き起こしやすい。

(2)計画の作成と実施のポイント

 ところが最近は、一般の人でもボランティア活動への参加や意識の向上がみられる。これは、自分のもつ時間と能力を生かし社会に貢献したいという考えと意欲であり、社会との関わりの中で新しい学びをつくろうとしているとみることもできる。一般の人とともにボランティア活動をすることは、まさにボランティアの「モデリング」である。
 一般に社会人は、学習のための学習ではなく、仕事や生きがいなどの必要性から学び場に参加している。社会人の学習形態を理論的に考察しているのがレイブとウェンガー(Lave & Wenger, 1991)らの状況論的学習観である。学習者と実践の共同体との「社会的な関係づけ」がつくられることで学習がつくられるという考えである。現実社会の中で、仕事を通して学んでいる人は、学習を孤立した目的にして活動しているのではなく、むしろ社会的な実践という仕事に参加している参加者であり、実践の共同体のメンバーとなっている。学習はそのような社会的な実践に「ともなう」ものであり、実践によって意義づけられ、方向づけられている。ある社会的実践、つまり意味のある世界の中で自分がその世界とどう「つながり」をもっていくか、どうかかわっていくか、その過程を「学習」とみるものである。

(3)自ら学び働きかける学習

 学習が何によって方向づけられ、何によって「学び」が実際に生じるかという問題がある。私のいる高校は職業高校であり、学びをいかに再構築するかが一つの課題でもある。この取り組みは教科の補完的なものであり、これまでの学校授業とは少し違いがある。しかし「意味のある世界」と感じるから多くの生徒が参加しているのである。状況論的学習観では、日常生活の中での人間は、積極的に環境に働きかけて学んでいくことで、意味のある課題と取り組んでいるときは自ら学ぼうという主体的な働きかけで学習を行う。「学習は教え手が学び手に知識を伝授し、学び手の誤りを正していくことで生じる」という伝統的な学習観と異なり、「新しい状況の中に参加する中で知的好奇心という働きによって自ら学ぶ方向を決め、その方向に向かって主体的に働きかける」という学習観に関係している。高校生になると、このような学習観に基づく実践も可能になる。これはインターンシップについても同じように考えられる。
 体験で得た経験、感性への刺激、知的刺激などを発展させ学ぶ意欲へと結びつけ、自ら主体的に行動をとれるようにすることが大切である。そして、ここで得た社会的な体験が社会性を育み、身につけさせるまで展開していくことが大切であると考える。
 これまでに5年間取り組んできたが、単なる体験学習でなく、「ボランティア」の概念をはじめ「福祉」「ノーマライゼーション」「バリアフリー」「高齢社会」など、これからの社会にとって重要なキーワードの概念と「農業・園芸」を結びつけた概念学習の構築の必要性を感じた。それは、今後の高校教育改編=総合学科高校の増加、その中で魅力ある教科として農業教育が選ばれるためにも必要であろうと考える。この取り組みは農のもつ力を生かしたひとつの先駆け的取り組みとして行ったものである。今後、多くの実践事例と研究が広がることを期待したい。
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