高等学校の農業教育が、農業後継者の減少により産業的価値の再生産という一面から、農を通しての人間形成へと変遷して久しい。高校での農業教育は、農業技術としての価値の再生産から、しだいに関連分野に関わる技術へと拡大し、そして「ガーデニング」「趣味の園芸」という生活面へと拡大しつつある。そしてわが国の高齢社会の到来により、注目を浴びてきたのが農業や園芸のもつ大きな意味での福祉的な要素である。これらは園芸療法、園芸セラピー、園芸福祉という言葉で広く認知されつつあり、作業療法や福祉レクリエーションであったり農業従事者の生きがいであったりと、そのレベルはさまざまである。確かにこれらの活用領域の認識はさまざまで、混乱している面もあるが、農業高校では2003年に科目「生物活用」が設けられ、これらの分野を学ぶことになっている。
農業・園芸の技術教育を農業以外の社会的な多くの領域で活用することを学ぶことは、社会的見識を深める点でも高校生や大学生にとってきわめて重要な意味をもつ。学際的には、福祉・医療と農業・園芸、そして教育の複合領域に当たる園芸療法の場面で高校生とともにボランティア活動を行い、その調査結果から見た農業教育の新領域での展開の可能性を検証する。 |