(1)自己実現の2つの側面
平成9年に出された中央教育審議会の第二次答申には、「子どもたちは、教育を通じて、社会の中で生きていくための基礎・基本を身に付けるとともに、個性を見出し、自らにふさわしい生き方を選択していく。子どもたちは、こうした一連の過程で、試行錯誤を経ながら様々な体験を積み重ね、自己実現を目指していくのであり、それを的確に支援することが、教育の最も重要な使命である」という記述がある。
自己実現とは、自らの可能性を最大限に発揮して生きていくことと定義づけられようが、このなかには、「社会の中で生きていくための基礎・基本を身に付ける」社会化という側面と、「個性を見出す」個性化という側面が含まれていると解することができる。したがって、自己実現とは、自らの個性を生かしつつ、社会の一員としての大人になっていくこと、すなわち、社会化と個性化を統合した人格の完成へと向かう過程とも解することができる。教育の目的を人格の完成と考えるならば、このような子どもの自己実現の支援を行うことは、学校教育に携わるものにとっての重要な課題であると考えてよい。 |