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(6) 生活文化の語り部・農村の高齢者
(7) 教育にとっての家畜の活用
出典 『農業教育』63号 2001年 12月号

4 連携学習のねらいと効果

 東小における連携学習のねらいは、
1 地域の基幹産業である農業について体験的に学ぶとともに、地域の自然、産業についての理解を深める。
2 動植物の観察、飼育・栽培体験を通して、自然及び生命への畏敬の念を持つ(動植物は、自分たちと同じように命を持っていることや生・成長していることに気づく)。
3 名農の生徒が指導者となり、ともに学びあうなかで、心のふれあいを通して感謝の気持ちを持つ。
 一方、名農にとっては、
1 農業高校と地域との連携を深める。
2 小学生を指導するなかで、自らも学びを深め、自主性・指導性の向上を図る。
3 小学生とともに学ぶなかで、心のふれあいを図る。
 双方にとって、願ってもない取組みということだが、問題はないのだろうか。
 東小の山岸勝昭校長は「当校にとっては良いことづくめで、名農さんに負担をかけているのではと思っています。来年度からは使える時間数も増え、もっと自由に取り組めるようになるので、さらなる取組みを希望しているのですが」と、名農側の今後の方針が気掛かりのようだ。
 一方、名農の斉藤信寛教頭は、「確かに準備などにかかる負担は大きい。指導する先生方の苦労もあります。しかし、この連携学習には、それを補ってあまりある素晴らしい教育効果が得られます。生徒に自信・積極性・やる気・思いやりが生まれます。小学生には、農業や農業高校への理解が生まれます。ですから、これからも中身の改善も含めて発展させていきたい」と、双方の考えはぴたりと一致している。斉藤教頭はさらに、「小学校で、せっかく農に対する理解が深まったのに、中学で途切れてしまうのは惜しい。今後は中学との連携学習も考えていきたい」と、小中学校との一貫した農業教育に意欲を燃やしている。

5 小学生に教えるために頭を使う

 名農生は、小学生に教える時にさまざまな工夫を凝らしている。
 まず、自分が教える内容を充分に理解しなくてはいけないので、よく勉強するのはもちろんだが、なにしろ相手は小学生である。どうやって、分かりやすく興味を持たせて教えるか、と知恵をしぼらなくてはならない。
 模造紙に大きく絵を描いたり、クイズ形式を取り入れて興味を持たせたり、自分の頭で考えるように工夫をこらす。もちろん、小学生からの質問も予想して準備をする。リハーサルもするというから、連携学習にかける名農生の熱意は並々ではない。
 長年、東小で連携学習に取り組んできた長谷川まゆみ先生は、「教師も、高校生の授業には教えられることが多いんです。私たちも知らない専門的な知識を持っていますから」「子どもたちは、どうしてカボチャは丸くなるのとか、どうして卵から鶏が生まれるのとか、とんでもない質問をします。でも、高校生は困りながらも相談したりして、何とか答えていますね。感心します」と話す。きっと若者らしい柔らかい頭が難問を解くのだろう。

6 連携学習からさまざまな発展へ

 連携学習での体験や学習は、さらにいろいろな所へと発展していく。
 たとえば、カボチャ教室で学んだ4年生は、名寄のカボチャは品質が良くて東京の市場にも出荷されているということを自分たちで調べ上げた。秋の子ども祭りでは、「大きくなあれ 野菜たち」というミュージカル劇にして発表。水稲教室で学んだ5年生は、もっとイネつくりをやりたくて、コミュニティカレッジ生の田んぼを借りて、イネを栽培した。
 また、体験が詩や図工の創作につながったり、お礼の手紙を書いて国語の勉強になったりと、限りなく発展していく可能性がある。
 最近の子どもたちは、体験が豊かとはいえない。それは、豊かな自然に恵まれているはずの東小の子どもたちも同様だ。だからこそ、連携学習の豊かな体験は、表現や創作、調査活動などに結びついていく貴重なものだ。
 今後、両校のような連携学習を試みようとする学校は続くだろう。その時に留意する点はどんな事だろうか。
 東小の山岸校長は、「小学校なりのねらいをしっかり押さえておくこと。どんな子どもに育てたいのかが基本になくてはなりません。生きる力・知恵をつける教育でなくては……。それが欠けるとイベント屋さんになってしまう。当校では、名農との連携学習をテーマ追求学習、コミュニティーカレッジとの合同学習とあわせてひびきあい学習として位置づけています」
一方、名農の斉藤教頭は、「成功させるには、教師間の連携が大切。高校のなかで意志統一をきちんとすることが必須です」と語る。

7 近くに農業高校があるという恵まれた環境を生かして

 現在では、授業のなかで、農家に出かけて話を聞いたり農作業体験をしたいと思ってもなかなか難しい。農作業の機械化が進み、田植えやイネ刈りなども一瞬にして終わってしまう。手植えや鎌を使ったイネ刈りなど、体験したくてもできない。ましてや、家畜に触らせてもらったり、乳しぼりを体験させてもらうことなどほとんど不可能だ。
 その点について、東小の長谷川先生は「当校は大変恵まれています。名農の畑や田んぼ、畜舎などに実際に入って、本物の動植物に触れたり、作業も実際にやらせてもらえるのですから。本物が子どもたちに与える感動には驚かされます」。さらに、「野菜や草花、イネなども上手に育てるのは大変です。専門的知識が必要ですし、時間も手間も非常にかかります。その点でも、名農の場合は環境が整っていますし、名農生がきちんとみてくれるので安心です。私たちは大事なエキスをいただいているといえます」と話す。
 名農と東小の連携学習は数年前から「わくわくチャレンジ教室」と呼ばれている。東小生が名前を付けたそうだ。子どもたちの連携学習への思いがそのまま表れている名前である。子どもたちは、学習の前には、ドキドキわくわく期待に胸が高鳴り、体験学習にチャレンジしていく。そして、体験から貴重なことをたくさん学ぶ。その取組みは、一生忘れない大切なものとなり、その後の生きる力となっていくだろう。
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