(1)
農山村フィールドワーク体験による農業・環境学習
(2)
触覚に注目したブルーベリーの目隠し収穫体験プログラム
(3)
食農教育から生まれる教育的効果に関する
(4)
地場産学校給食を入り口に幼稚園も小学校も積極的に食農教育
(5)
連携してここまで高めた小学校の「総合的な学習」と農高の教育力
(6)
生活文化の語り部・農村の高齢者
(7)
教育にとっての家畜の活用
出典
『農業教育』63号 2001年 12月号
3 連携学習の体系と実際
現在、連携学習は教科のなかに組み込まれているが、平成5年度に全学年で取り組むことになった時は、教科と連携学習をカリキュラムのなかでどう位置づけるかについて非常に苦労したということだ。しかし、来年度からは「総合的な学習の時間」として、教科に縛られない時間が充分できるので、やりやすくなる。
それでは、各学年ごとの連携学習の実際について紹介しよう。年によって、天候などの関係で多少の変化があるが、大体以下のように実施されている。
表 平成15年度わくわくチャレンジ教室実施計画
動物教室
乳加工教室
草花教室
カボチャ教室
水稲教室
農産加工教室
4月
5月
27日(火)
田植え体験
名農水田
6月
16日(月)
鶏・乳牛の観察1
2〜3h
名農センター横
17日(火)
3〜4h
ソフトクリームづくり
名農加工棟
17日(火)
2〜3h
種まきヒマワリ ホウセンカ キャベツ
名農温室横
4日(水)
播種
12日(木)
移植
3〜4h 東小
12日(木)
(予備13日)
パウンドケーキづくり
名農加工棟
7月
3日(木)
鉢上げヒマワリ ホウセンカ キャベツ
東小学校にて
2日(水)
定植
22日(火)
3・4h
幼穂観察
名農水田
23日(水)
パンづくり
名農加工棟
8月
27日(水)
観察
27日(水)
トマトジュースづくり
名農加工棟
9月
1日(月)
鶏・乳牛の観察2
2〜3h
25日(木)
3〜4h
チーズづくり
(マスカルポーネ)
19日(金)
押し花づくり
東小学校にて
未定
収穫
24日〜未定
収穫
名農水田
24日(水)
缶詰づくり
名農加工棟
10月
14日(火)
精米
11月
収穫祭
日時未定
東小
1年生47名
2年生24名
3年生33名
4年生37名
5年生34名
6年生37名
名農
D2/D1総実
19名
D2総実
5名
S2コースB
草花4名
S3コースB
野菜7名
S3コースA
作物7名
S2総実
8名
◆1年「動物教室」(名農/酪農科2年)
5〜6月と9月の2回、各2時間ずつ東小1年生が名農農場を訪ねて乳牛、豚、鶏、ヤギなどを観察したり、スケッチしたり、実際に触ったり抱いたりする。小学生5〜6名に高校生2〜3名の数グループに分かれ、グループごとに移動し学習する。メインはヒヨコと子ブタである。
ヒヨコの観察の時は、「かわいい!」と声に出しながらも、怖くてなかなか抱くことができない子どもたちも、お兄さんお姉さん先生のアドバイスを受けながら、時間内にみんな抱けるようになる。ヒヨコは絵本やテレビで見て知っていても、実際に触ったことがある子はほとんどいない。
学習を終えると子どもたちは、「ふわふわしてたよ」「あったかかったよ」「心臓が動いているのがわかったよ」と、ヒヨコが生きていることを実感し、小さな命を大事に優しく扱うことを学ぶ。高校生先生が簡単なクイズを出して、足の数、色や形などに注意して観察するようにし向けるので、たんにかわいいという感じ方から具体的な観察へと進むことができる。
子ブタ教室のやり方はこうだ。
まず、ビデオでブタの出産の様子を見る。子どもたちは、「わー、小さいね」「お母さんブタには、おっぱいがいっぱいあるね」「これは3つ子だね。ブー、フー、ウーみたいだ」「お兄さんがきれいにふいてあげてるね」と関心が高まって、だんだん前に出ていって真剣に見る。
次に、グループに分かれて飼育舎に向かう。子ブタに比べてお母さんブタの大きいこと、ビデオで見たブタが、実際はこんなに大きいことに子どもたちはびっくりする。耳もしっぽも鼻の形もよく観察し、触ってみて毛が案外硬いのも知る。強烈なにおいも知る。
また、生まれたばかりの子ブタをお兄さん先生に抱かせてもらって、「かわいい」と大喜び。家畜に接する機会などめったにない子どもたちにとって、本物を見て大きさを知り、じかに触れてあたたかさを感じることの出来る学習は、大変意義深い。
◆2年「動物教室」(名農/酪農科2年)
1年に続いて2年目の動物教室を、子どもたちはよく覚えていて心待ちにしている。6月と9月の2回、動物の観察、牛のスケッチ、乳牛の搾乳体験、バターつくり、アイスクリームつくりなどを体験する。
ハイライトは乳しぼり。まず、いくつかのグループに分かれて、牛舎や放牧場を見学すると、子どもたちは頭に描いていた牛と本物とのギャップに思わず後ずさりする。「大きい!」「よだれが出ている」「あっ、うんちしたー!」と大騒ぎ。
だんだん慣れてくるころを見計らって、お兄さん先生が抱き上げて牛の頭をなでさせてくれたり、餌をまいて牛をよんでくれたりする。牛のあたたかさと手触りに歓声を上げる子どもたち。
牛舎では、寝床や掃除の様子を見学した後、実際に乳しぼりに挑戦する。まず、水を入れたバケツにゴム製の乳首をつけた教材で練習。なかなか難しいが、お兄さん先生に手のひらと指の使い方を教わり、何とか水が乳首から飛び出すようになる。次はいよいよ本番である。
大きな牛の足元にしゃがみ込み、大きな乳首に手をのばすのは大人でも勇気がいる。お兄さん先生が実演してみせてくれても、なかなか手が出ない。そのうち、数人の子が勇気を出して挑戦。「あっ、出た、出た!」と歓声を上げると、「ぼくも、わたしも」と次々に列が出来てくる。
牛の乳首の温かさ、しぼり出された乳の温かさに、自分たちと同じ命を強く感じ取る。搾乳体験の後、事前にしぼってあった牛乳をごちそうになると、「おいしい!」と声をあげる子どもたち。
なかには、牛舎のにおいを嫌ってなかに入れない子、牛の大きさに驚いて泣き出す子もいるが、お兄さん先生に上手に導かれて最後には乳しぼりまでやって帰るというから、お兄さん先生の力は偉大である。また、牛乳嫌いの子どもも、搾乳体験の後の牛乳をおいしく飲み干し、それから飲めるようになるという。体験の持つ限りない力を感ずる場面だ。
◆3年「草花教室」(名農/農業生活科2年)
五月と七月の二回、アフリカホウセンカ(インパチェンス)、ミニヒマワリの種まきと鉢植を体験し、生物を育てることの楽しさ、難しさや大切さを学ぶ。
第1回目は東小で、鉢に種をまく。簡単そうだが、土をこぼしてしまったり、小さな種を見失ってしまったり、アクシデントが続発。お兄さんお姉さん先生は、そんな時にもあわてることなく、根気よく子どもたちを助け、種まきを完成させる。
2回目は、名農まで自転車で出かける。汗だくになって疲れてしまった子どもたちもお兄さんお姉さんと再会し、自分のまいた鉢に立派な苗が育っているのをみると、元気を取り戻す。鉢から苗をはずし、大きな鉢に植え替え、その後は教室で育てる。夏休みに入り、各自それぞれ家に持ち帰り、かわいい花を咲かせる。
◆4年「カボチャ教室」(名農/農業生活科3年)
カボチャは名寄の名産品。カボチャ教室は、1年から6年までの連携学習のなかで、もっとも長い時間を使い、小学生と高校生の交流が深い学習である。そこから数々の感動も生まれる。カボチャ教室は、種まきから収穫まで5回にわたって行なわれ、さらに、東小主催の収穫祭も加わる。
第1回目「種まき」5月(東小にて)
鉢にカボチャの種まきをする。グループに分かれ、2名ずつのお姉さん先生と自己紹介。はじめは少し緊張してもすぐに打ち解ける。模造紙に大きく描いた絵で、クイズも交じえて、まき方を説明。カボチャの種をスケッチし、プラントベッドに土を入れて種をまく。最後に立派に育つようにとお祈りして学習を終わる。
第2回目「移植」6月初旬(東小にて)
双葉になったカボチャをスケッチして、双葉を痛めないよう慎重に鉢へ移植。
第3回目「定植」6月下旬 名農にて。
本葉をたくさんつけ立派に生長した苗を見て、歓声を上げる。まず、苗をスケッチして、お姉さん先生から植え方の説明を受けて、畑に1人2株ずつ定植。名札を立ててかん水して終了。
第4回目「観察」7月(名農にて)
カボチャの苗は親蔓から立派な子蔓が伸び、そろそろ花をつけるころ。雌花を見つけて大喜び。葉っぱや花を観察しスケッチ。
第5回目「収穫」9月(名農にて)
いよいよ収穫の日がやってきた。畑には大きく育ったカボチャがごろごろ。1人7〜8個、多い子は10個以上収穫する。カボチャの重さを量り、大きさ自慢をしたり、子どもたちは大喜び。
第6回目「収穫祭」9〜11月(東小にて)
名農生を招待してカボチャ団子を一緒につくる。東小から感謝状を送り、名農生から修了証をもらう。活動を振り返るスライドを見たり、東小生が劇や歌を披露したり。話に花が咲き、時間があっという間に過ぎる。やがて名農生が帰る時間が来ても別れがたく、お互いに涙、涙の別れの場面となる。先生方も感動して、もらい泣きをするそうだ。
◆5年「水稲教室」(名農/農業生活科3年)
水稲教室は、田植えから収穫、さらに収穫感謝祭まで、4回にわたって行なわれる。
第1回「田植え」5月
東小生2人に名農生1人がついて、班ごとに苗をもらって田植えの方法を教わり、田んぼへ。田んぼに入るのはみんな初めてなので、泥のなかに足を入れるのを気持ち悪がっていた子どもたちも、だんだん調子が出てきて楽しくてしようがなくなる。ゲンゴロウやドジョウ、カエルを見つけて大騒ぎしたり、ころんで泥んこになったり。植え終わるとみんな満足気だ。
第2回「稲の観察」7月
イネの観察に名農の田んぼへ。田植え時からすっかり生長し、数十cmになっている。イネを観察しながらスケッチし、穂のなかも観察すると、なかに緑がかった米がもう出来ていて、子どもたちは驚く。自分たちが毎日食べている米が、目の前のイネに実りつつあることに感動している。
第3回「稲刈り」9月
子どもたちは緑色だったイネが、頭を垂れ立派に実っているのを見て、「黄金色している!」と感動する。用意された鎌を使って、イネ刈りに挑戦するが、なかなか難しい。高校生先生から教えてもらいながら少しずつ上手になって、何とかやり遂げる。
第4回「収穫感謝祭」11月
自分たちで刈ったイネが、精米されて「もち米」になって学校に届く。父母も参加してもちつきをして、雑煮やおはぎにして食べる。子どもたちは、自分でつくった米で搗いたもちは特別おいしく、1粒も無駄にしたくないと思うようだ。
◆6年「料理教室」(名農/農業生活科3年)
7月と11月の2回、名農の調理実習室で実施。メニューはチキンピラフ・コロッケ・コンソメスープ、カレーライス・ケーキ・カボチャパイ・サラダ、おはぎ・具沢山みそ汁・ホワイトソースグラタン等々。料理の内容は本格的でメニューも多く、先生方は出来るのかと心配になるが、高校生先生は手際よく時間内に終わる。食材は、名農でとれた野菜や米、牛乳、卵などでほとんど賄うというからすごい。
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