農村地域において、自然、文化、人々との交流を楽しみながら滞在するグリーンツーリズムが注目されて久しい。このような農家滞在による交流では、農村の自然そのものを楽しむことに加えて、農業体験がもう一方の柱であることが多い。このことは高度情報化社会の進展により、われわれの生活のなかに実体験の希薄ないわゆるバーチャルな部分が増大している背景から、「食」という人間生存の根幹に関わる部分への関心があることを表しているのではないかと考えられている(文献4)。
一方で、衰退する農村にとって都市住民が農村で余暇活動を行うことには、一種のビジネスチャンスの到来としての期待もみられる。農水省(平成13年12月)の「グリーンツーリズムの展開方向」によると、観光による波及効果や地域特産物の販路拡大など地域経済の活性化に期待を寄せる市町村も多い。この点で、いわゆるグリーンツーリズムは単なる農村体験の枠から逸脱し幅広い展開もみられている。
しかし、このような都市住民が農村を求める背景には、農業に対する関心、興味の高まりがその根幹にあることに異論はない。このような農村体験の機運の高まりをより持続・発展させていくには、農村体験によっていったい何をどう体験させるとよいのか、という点について十分に検討していく必要がある。ここでは、農山村フィールドワーク体験によって、都市住民、大学生および受入れ農家がどのような感想をもったのか分析し、農村体験の意義について言及したい。 |