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(1) 小学校での栽培学習の実践とその教育内容
(2) 学外の稲作体験による児童の自然に対する感情・認識の変化
(3) 小学校の発達段階に応じた農業体験学習の効果
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 小林菜々恵(株式会社星野リゾートピッキオ)
三島 孔明(千葉大学園芸学部)
藤井英二郎(千葉大学園芸学部)
協力 日本農業教育学会

4 子どもの変化の経過とその要因

 体験中の発話では、「感嘆」「感覚」「感情」などが初めに多くあらわれ、その後「観察」「愛情」が多くなる傾向が見られた。また、各体験後の質問紙への記述内容では、「気づく」「嫌悪」は初めのころに多く見られ、その後「知る」「観察」が、さらにその後に「愛護」「広がり」が多くなる傾向が見られた。
 これらの傾向は、どちらも似たような流れを示していると考えられる。双方をあわせて考えると、イネやムシ、土などに対して、初めは五感を通して感じ取り、そのものに対して何らかの感情を抱き、その後、興味を引かれ、よく見てさまざまなことを知るようになって親しみも感じるようになり、そしてそれらに対して愛情や愛護の気持ちを抱くようにもなり、さらには関連する周辺のことにも関心が広がるようになる、といった変化の経過をたどるものと考えられる。そしてこのような変化の経過をたどることにより、さまざまな生き物の成長や、動き、季節などを感じ取るようになり、自然に対する関心・知識が高まった可能性があると考えられ、そのことが「自然」という言葉からイメージする絵の中の自然物の種類の増加としてあらわれたものと思われる。
 このような変化の要因について考えてみると、初めの頃の発話内容で感覚的なものが多く見られ、五感が刺激されたときに大きく反応している様子が伺えることから、直接体験により五感を通じて対象と接することは、大きな要因の一つであると考えられる。また、イネの生長やムシの動きに強く関心をもっていたことから、その対象が変化するものであることも大きな要因と考えられる。さらに、段階を追って感心や行動が変化していたことから、何回も接する機会があるということも、重要な要因の一つと考えられる。
 一方、人間側の要因として、年齢や農作業に対する意欲の程度なども重要である可能性がある。今回対象とした「こめっこクラブ」は、希望者を対象とした体験教室であったために、もともと農作業に対する期待や意欲が高かったと思われ、そのことが今回の結果に影響している可能性がある。また、今回の対象者は小学校4〜6年生であり、このことも今回の結果に影響している可能性もある。農作業に特に関心のない子どもの場合はどうなるのか、また年齢が中学生以上や小学校低学年、幼児だったらどうなるのかといったことについては、今回のケースだけからは判断できない。今後の課題としたい。
参考文献
1) 呉宣児・無藤隆(1998)自然観と自然体験が環境価値観に及ぼす影響、環境教育(7)2,2-13
2) 白井信雄(1996)環境配慮意識の形成要因としての自然とふれあう遊びに関する研究、環境情報科学論文集、10、105-110
3) 平野吉直(1998)子どもの体験活動等に関するアンケート調査の実施結果について(概要)、文部省ニュース 青少年教育活動研究会
4) 鎌田昌吉(1993)学校教育における栽培学習の研究(2) ―学校活性化と勤労体験学習について―、日本農業教育雑誌24(2)、103-110
5) 毛利亮太郎・谷浦麻里(1987)小学校における勤労生産学習の実態、日本農業教育学会誌19(1)、8-15
6) 武村純・内藤厳・永井昌夫(1990)第46回講演会シンポジウム「京都の小・中・高校における農業教育の実例をめぐって」、日本農業教育学会誌21(2)、77-80
7) 松戸市役所建設局公園緑花部緑地管理課 21世紀の森と広場管理事務所:自然尊重型都市公園「21世紀の森と広場」
8) 佐野 憲:21世紀の森と広場こめっこクラブ―公園における米づくり体験教室―松戸市緑地管理課 21世紀の森と広場管理事務所長
9) 扇田博元(1981)絵による児童の個性発見法、黎明書房
10) 扇田博元(1981)絵による児童診断法、黎明書房
11) 楠田直美・鈴木善次(1993)絵を通してみた子どもの自然イメージ、環境教育、3(1)、46-53
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