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(1) 小学校での栽培学習の実践とその教育内容
(2) 学外の稲作体験による児童の自然に対する感情・認識の変化
(3) 小学校の発達段階に応じた農業体験学習の効果
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 梁川 正(京都教育大学教育学部)
河嶋 喜矩子(京都教育大学教育学部附属幼稚園)
協力 日本農業教育学会

4 児童の感想と教育的意義の広がり

 栽培を通した学習の中では、播種から移植、除草、追肥、水やりといったさまざまな場面での一連の活動を通して、諸教科の学習内容をはじめ、全教育活動に密接に関連した領域について学ぶことができる。
 ある4年生の女の子は、校内の新聞にこう記している。
 「私たち4年生は、自分たちで育てた芋をほりました。どんな芋がほれるんだろう?と私は期待をしながらほり始めました。『あっ!芋の先が見えた。』私はこうふんしながらほっていきました。そして、(やった!やっと芋をしゅうかくできた。)と思ったら、アララ。長さが3センチ位しかないミニ芋が出てきました。でも、学校の芋ほりは、楽しかったです。『ここに根っこがある。』と言って騒がしい人がいたり、逆に真剣にほっている人がいたり、『芋を引っぱって、折れちゃった。』という人がいたりと色々です。
 今日は、小さな秋を感じた1日でした。なによりうれしいのは、みんなで秋を感じたことです。」
 また、ある男の子も新聞にこう記している。
 「僕は芋を見つけるのに時間がかかりました。とれた芋は、ひょうたん型の芋や、小さい芋だけでした。スケッチの時は、しかたがないので友達にかりて、スケッチをしました。お昼休みに理科室で芋を配ると先生が言うので、僕は『大きい芋をとるぞ!』と思っていて、大きくて丸い芋をとり、あとで思ったのは『ああ、長細い芋をとればよかった。』ということです。芋は家に持って帰って、天ぷらにして食べました。」
 これらの感想は、栽培を通した学習の教育的意義の広がりと深さを示しているものと思われる。

5 栽培学習の体系化と今後の課題

 栽培学習を体系化するためには、それぞれの関連する教科においてどのような単元でどのように取り扱い、どのような過程で、どのように評価を行うのかといった事柄に対して十分な計画を立て、学校全体で把握しあい、共通認識をもっておかなければならない。たとえば、これまで示したように、詳細な栽培学習にかかわる教科や特別活動を含めたそれぞれの教育内容を示し、そのうえで作目、栽培方法、その単元設定、その単元のねらい、対象、実際の学習活動と評価の観点を明記する必要がある。
 今後の課題としては、学校全体として教師自身が積極的に参加することによって、その学校独自の栽培学習カリキュラムを編成する必要がある。この場合、カリキュラムマネジメントの概念が重要であることは言うまでもない。そのうえで、学校におけるカリキュラム開発、編成、実施、評価、更なる改善という一連の栽培学習の実践が展開されることを願いたい。
1) 文部省告示(1998)『小学校学習指導要領』第1章総則
2) 文部省告示(1998)『小学校学習指導要領』第2章各教科 第4節理科
 
参考文献
1) 森山賢一・千葉雄司(2001)「小学校における栽培教育を取り入れたカリキュラムとその教育内容」日本産業技術教育学会 第13回関東支部会講演要旨集 p.43-44
2) 向山玉雄(1998)「教科教育と総合的学習の相互補完」『教育課程改革への理論と実践 ―総合的学習を中心として―』東洋館出版社 p.124-131
3) 森山賢一(2001)「『総合的な学習の時間』の新設と農業教育の推進」『日本農業教育学会誌』第32巻別号 p.41-44
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