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(1) 小さな農業者の感性が発信する 花倉山からのメッセージ
(2) 幼稚園での植物栽培活動とその意義
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 梁川 正(京都教育大学教育学部)
河嶋 喜矩子(京都教育大学教育学部附属幼稚園)
協力 日本農業教育学会

2 幼稚園での子どもと植物とのかかわり

 幼稚園での活動としては、栽植されている植物を観察し、それらで遊ぶ活動、栽培されている植物を観察し、それらで遊ぶ活動、子どもと先生、さらに保護者がかかわって、草花や野菜などを栽培する活動があげられる。この他、収穫された植物を調製したり試食する活動、図鑑などで植物を調べる活動などもある。表1と2は、京都教育大学教育学部附属幼稚園で行っている活動のねらいと内容を示したものである。
表1 3歳児と植物栽培とのかかわりの活動におけるねらい及び内容
季節 活動のねらい 活動内容
春季
(4〜6月)
先生といっしょに春の自然や身近な栽培植物にふれ、安定感をもつ。
春のあたたかさをかんじたり、園内の樹木などをみたりして、驚いたり、興味をもったりする。
親しみのある栽培植物を先生といっしょにみたり、ふれたり、世話をしたりして、親しむ。
夏季
(7〜9月)
先生や保護者といっしょに、自然にふれて遊ぶことを楽しむ。
先生や保護者といっしょに、身近な植物にふれ、驚いたり、喜んだりする。
先生といっしょに、好きな草花に、水やりをすることを喜ぶ。
秋季
(10〜12月)
秋の自然のようすに、関心をもって、みたり、ふれたりして親しむ。
収穫したものをさわったり、においをかいだり、味わったりして、楽しむ。
先生や保護者といっしょ、タネまきやタネとりをしたり、開花しているものをみつけたり、秋の自然のようすを、みたりすることを喜ぶ。
ドングリなどの秋の自然物を使って、遊ぶことを楽しむ。
冬季
(1〜3月)
冬の自然のようすに関心をもち、驚いたり、不思議に思ったりする気持ちをもつ。
水栽培する球根の生長、変化のようすに、関心をもち、驚いたり、不思議に思ったりする。
水栽培の球根の開花を先生や友だちといっしょに楽しむ。
冬の草花を先生といっしょに楽しむ。
園庭の木々や栽培植物の葉、つぼみなど、先生といっしょにみつけて喜ぶ。
表2 4歳児と植物栽培とのかかわりの活動におけるねらい及び内容
季節 活動のねらい 活動内容
春季
(4〜6月)
身近な自然をみたり、ふれたりして関心をもつ。
身近な植物にふれ、驚いたり、喜んだりする。
先生や友だちといっしょに、水やりや世話を喜んでする。
草花を生活にとりいれて楽しむ。
夏季
(7〜9月)
身近な植物にふれ、親しみをもつ。
自分たちで植えた野菜や草花の栽培に関心をもち、大切に育てる。
畑のようすに関心をもち、野菜の収穫を喜んだり、味わったりする。
植物の生長、変化に興味をもち、驚いたり、喜んだり、みつけたりする。
秋季
(10〜12月)
身近な秋の自然と十分にふれあい、興味、関心を広げる。
戸外の自然にふれ、秋のさわやかさを感じる。
秋の草花をつんだり、ドングリなどの自然物を遊びにとりいれたりして親しむ。
先生や友だちといっしょにタネまき、タネとり、いも掘りなどして土に親しむ。
秋の自然の美しさを感じたり、変化に驚いたりする。
季節による自然の変化に興味や関心をもつ。
自分たちで育てた野菜を収穫して楽しむ。
冬季
(1〜3月)
冬の自然のようすに驚いたり、不思議に感じたりして、興味を深める。
水栽培する球根の生長のようすに、関心をもち、驚いたり、不思議に思ったりしたことを、ことばでいう。
水栽培の 球根の開花を楽しみ、友だちといっしょにみる。
冬の草花をみたり、かざったりして楽しむ。
園庭の木々や栽培植物の葉、つぼみなど、先生といっしょにみつけ春の訪れを喜ぶ。
表3 植物栽培にかかわった3歳児の活動と育てたい心
種類(栽培方法) 活動内容 育てたい心
チューリップ
(花壇、鉢他での栽培)
咲いている花をみて楽しむ
集めて楽しむ(花びら、茎)
遊んで楽しむ(ケーキの飾り、茎の料理)
安定する
親しむ
楽しむ
アサガオ
(親子で育てるプランター栽培)
タネ播き、土運び、苗の移植、かん水など、親や先生といっしょにする
花の咲くのを楽しみに待つ
花をみて触れて楽しむ
色水づくりをする
タネとりをする
ともに
楽しむ
親しむ
ヒアシンス
(水栽培)
水栽培容器に水を入れ球根をセットする
冷暗所におき、楽しみに待つ
発根のようすを観察して、その生長に驚く
日当たりのよい場所に移す
つぼみの生長を楽しみに待つ
開花を喜び、友だちや先制にその喜びを伝える
育ててきたことに満足感をもつ
ともに
楽しむ
驚く


喜ぶ
表4 植物栽培にかかわった4歳児の活動と育てたい心
種類(栽培方法) 活動内容 育てたい心
ミニトマト
(鉢栽培)
用土をつくり、タネを播く
発芽した苗を黒ポリポットに移植して育苗する
鉢に定植して、支柱を立て、施肥、側芽とりなどの管理をする
適切な時期まで待って、収穫して食べることを楽しむ
友だちや親といっしょに育てることを楽しむ
気付いたこと、感じたことを人に伝える
大切にする
驚く
不思議に思う

待つ
楽しむ
ホウレンソウ
(プランター栽培)
用土をつくり、プランターに入れる
石灰、肥料を入れる
先生といっしょに育てる喜びを感じる
タネをまき、覆土をして、かん水する
発芽した芽を観察する
生長、変化に興味、関心をもつ
生長して混んでいるようであれば間引きをする
間引きしたものを料理して食べる
20cm程度に育ったら収穫する
根の土を洗い、食べることを楽しむ
育てる喜び


不思議に思う

驚く


喜ぶ
楽しむ
 3歳児の活動では、植物に触れて安定感をもち、遊ぶことを楽しみ、植物のようすに関心をもって親しむというかかわりが中心である。たとえば、チューリップなどの草花を先生と一緒に見たり触れたりして遊ぶなかで、花の美しさ、かわいらしさ、色、形、におい、やわらかさなどの感触を楽しみ、気持ちを安定させ、さらに先生と仲良くなったり園に慣れていく。また、先生や保護者といっしょにアサガオなどを育てることで、栽培する植物の変化に気づき、驚きや喜びを共有して感動できる体験を大切にしている(表3)。
 これらの植物とのかかわりを通して、安定して遊び始める、ことばが多くなる、友だちができる、友だちへの関心が広がるなど、子どもの成長が認められる。また、植物の世話をしたり成長を観察するなかで、身近な自然に関心をもち、季節の移り変わりを感じることができるようになる。
 4歳児では、植物に親しむとともに、植物や自然に関心をもち、不思議に感じたりして、興味をさらに深められるようにしている。春からはミニトマトを、秋からはホウレンソウなどを育て、冬になればヒヤシンスの球根の水栽培を行って、育てる喜び、収穫する楽しみを体験する(表4)。
 5歳児では、自然の変化のようすに関心をもち、季節感を感じ、栽培植物を愛情をもって世話しながら、その特徴、成長、変化に関心をもち、自然を大切にしようとするやさしさを育成する。園庭が狭い場合は園外に出て、たとえばジャガイモやサツマイモを広い畑で栽培して収穫する活動を行い、それらの栽培、収穫の喜び、楽しさを味わうことができる。
 ここの幼稚園には、園庭の中央に大きなイチョウの木がある。このイチョウは雌木で多数の銀杏を収穫できる。季節によるイチョウの変化に気づくとともに、銀杏を拾って洗う作業など、5歳児であれば大人とともに行うことができる。
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