農業体験学習ネット
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三好好一先生からのメッセージ

人間科(総合的な学習の時間)における農園活動―人間としての在り方・生き方を学ぶ―

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1 中学校の概要

 高松市街から5km(車で10分)、住宅と田園が混在する中に位置し、生徒は徒歩、自転車だけでなく電車、バス、船を使って遠距離を通ってきています。1学年は3学級(1学級約40名)で、次の教育目標の実現のために2つの人間像と3つの力を焦点化し、教科の枠組みにとらわれることなく系統的・総合的に取り組んでいます。

 【教育目標】
 自ら立ちつつ ともに生きることを学ぶ(個性の原理と共同の原理との合一化)
 今日に生きつつ 明日を志すことを学ぶ(現在の形式と未来の形成の連続化)

 【人間像】
 自立した人間として、自分や相手や集団を吟味してよりよく変えていくための総合的な力を持った生徒
 【資質・能力】
 個性的に共生できる人間 日本人として自らの責任を自覚した地球市民
 相互に理解し合う力 創造的に思考し、探求する力 自ら見通しを持って設計する力

 本校は、青年前期における精神的、社会的、身体的発育発達の最も著しい生徒に対し、全人的発育発達を期し、中学校教育を行うことを目的とするとともに、この事柄を基盤として、教員養成を目的とする香川大学教育学部の附属学校として大学学部等と の連携の下に、省令により、教育理念定立への実証的・実践的教育研究機関として、また学部学生に対する教育実践への基礎的技能養成と教育者としての資質高揚を目指した教育実習機関としての機能を果たすことを目的としています。

2 教育課程の位置づけ

 昭和52年以来一貫して、教育課程の開発に取り組んでいます。昭和54年に選択教科「セミナー」を創設し、平成3年に総合体験学習「人間科」、平成10年に自立・共生に必要な資質・能力を活動を通して学ぶ総合教科「共生科」を創設しました。

 農業体験学習は総合教科「人間科」の中で、「自然的存在としての人間」を学習の柱に1年時に取り組んでいます。2年時には「社会的存在としての人間」、3年時には「理知的存在としての人間」を学習の柱にしており、3年間を通して人間としての在り方・生き方を求め続けようとする能力や態度を育成します。現代社会の事実を教材とし、体験活動を通して問題解決に迫ることで、人間理解という視点から総合化し、自然や社会、人間の精神とのかかわりから自己の生き方を考えさせています。

3 ほ場の状況

 20m四方の水田を農家より借り受け、畝をつくって畑として作付けをしています。周りも水田で、日当たりは良好です。水はけが良くないことと120名の生徒が活動することを考え、溝を広く取り、畝を高くして栽培しました。平成19年は高温で雨が少なく断水のある年でしたが、210cm幅のマルチを張り表土を囲むことで、マルチの穴から注ぎ込むペットボトルの水は蒸発することなくいきとどき、雑草を増やすこともなく、例年以上の豊作につながりました。草抜きが数回で済んだことは特筆すべきことです。畝が高いことで風通しが良く、アブラムシがついた葉をその都度切り落とすことで農薬を使わずに済み、畑の中でちぎりとったトマトやキュウリをかじることができました。

 苗は種苗店に発注しており、今年はプチトマト、ナス、キュウリ、枝豆、カボチャ、サツマイモを一度に植え付けました。過去にスイカ、ヒマワリを植え付けた年があり、その種が土の中に残っていたようで芽を吹きましたので、植え替えをしたところ一緒に大きく成長しました。

 畑の半分はカボチャとサツマイモで手を入れずに済みましたが、夏野菜は花が次々と咲き、ミツバチなどの虫が集まり、受粉を繰り返し、収穫に追われる状況でした。

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4 技術指導について

 継続して指導にあたる者はいません。収量を増やすことが目的ではないので、活動時期、使用した肥料や道具、発注した苗等の記録を基に生徒とともに教員も悩みながら取り組んでいます。勤務年数の長い教員や、農家をしている教員もおり、インターネットで情報を得る等、教材研究の一環で研究を進めています。

5 農業体験学習について

(1)導入目的について

 本校の生徒の多くは、靴に土のつかない生活を送っており、自然と調和して生きることを学ぶために土に触れる活動が必要となります。初めて購入した長靴をうれしそうに履いて、暑い中で笑顔で草を抜いたり、コオロギを見つけて大騒ぎしたりしている顔は教室では決して見ることができません。

 7月から生徒は順番にキュウリを1本ずつ持ち帰りました。大事そうに持ち帰ったたった1本のキュウリを家族で分けて食べましたと保護者の声が届きました。野菜を丸かじりするようになったという話もありました。食に対する意識が変わるとともに、夕食での会話が増える効果が見られました。

(2)知識・技能

 育てることに対する意欲は非常に高く、中学生になると失敗が許されないことも理解しているので、教え合い活動が活発になります。例えば、サツマイモの苗を植える際、理解できていないとうまくできないことが分かっているので、躊躇したまま議論だけが進んでいました。理解していても必ずしもうまくいかないことも予測できており、植え付けるだけでも時間がかかりました。考え抜いて植え付けた苗は成長が気になって仕方がありません。

 ベランダでプチトマトを育てていた保護者から、芽かきをしないと大きくならないよと子どもに教えられたと報告がありました。生徒にとって、生きた知識となっています。

(3)創意

 サツマイモ、カボチャを料理にして、文化祭の折にふるまいました。喫茶店を計画し、120名が調理部と接待・掲示部に分かれ活動しました。どんな料理が作れるか、どうすれば喜んでもらえるか、夏休みの間中考え、試作もしました。計画してもイモができていなかったらと不安の中、収穫できたときの喜びは大きなものでした。自然の恵みを受けて生きていることを強く感じるとともに、自然と調和して生きることを体感した瞬間でした。文化祭では田楽芋、蒸しパンと紅茶をセットにし好評を得ました。

農業体験活動
活動時間(農園16時間/人間科39時間
4
ほ場整備(端刈り、土壌改良、耕耘) 50分×2日+休日(教員)
5
植え付け・水遣り(畝づくり、マルチ張り、植付、水遣り) 70分×2コマ×2日、+登校時に当番
6
整枝・草抜き(支柱立て、脇芽かき、草抜き) 50分×2日+登校時に当番
7・8
収穫・草抜き 50分+登校時に当番+休日(教員)
9
収穫・ほ場整備(端刈り、耕耘) 70分×2コマ×2日+休日(教員)

 

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