昭和22年の学校開設以来受け継がれてきた水田学習「うちの中学校では、就農する子はいませんね」水田学習を23年間担当している先生からそんなことばを冒頭聞かされた。話が進めばそういうものかなと思わざるをえなかった。 進学校である国立大学法人筑波大学附属駒場中学校・高等学校(以下「筑駒」という。)に、水田学習の取材をお願いしたのは明治11年の駒場農学校開校以来、130年の歴史を有する日本農学発祥記念の地「ケルネル田んぼ」において、昭和22年の学校開設以来生徒(現在は中学1年生と高校1年生による)が毎年6月に田植えをし、10月に稲刈りをしていることを、筑駒のホームページで知ったからであった。 マニュアルを見て水田学習の歴史が感じられる 筑駒の稲作のマニュアルをホームページから見ると、そこには稲作担当者の作業別労働のタイムスケジュールが一目で分かるように構成されている。これが筑駒の水田学習が永年受け継がれてきた源だろうと私は思っている。 担当の先生によると、水田学習には、稲作を通じて日本の文化にふれる、稲作を通じて共同作業の重要性を認識する、稲作の作業や体験を教科の学習につなげる。等の“ねらい”はあるものの、「生徒にとっては稲作の作業がストレス解消につながったり、親とのコミュニケーションがとれたりするある種の“教育力”があるようです」と言われたのが印象的であった。 (佐藤 直 記) 筑波大学附属駒場中学校・高等学校
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ケンネル田んぼ |
実は130年もの歴史をもつこの田んぼを現在、管理しているのがここから徒歩5分、世田谷区池尻にある筑波大学附属駒場中学校・高等学校だ。中高一貫教育の男子校、そして東京大学などへの進学者が多いことで知られ、中学入試においては、いわゆる難関校といわれる学校である。
駒場中学校・高等学校は昭和22年、東京農業教育専門学校附属中学校として開校したが、その淵源はもちろん、明治11年に設置された駒場農学校に溯る。附属中学の開校とともにケルネル田んぼでの田植えが開始され、以後、生徒による水田耕作が恒例化。一時は水田の存続が危ぶまれた時期もあったというが、関係者や目黒区(ケルネル田んぼがある駒場野公園は目黒区の管轄)の協力により改修工事などが行われ、現在に至っている。
昭和25年、同中学校には附属高等学校が設置され、27年には東京教育大学附属駒場中学校・高等学校と改称。53年、同大学の閉校に伴い、新設された筑波大学へ引き継がれた。なお、附属の学校長は代々、大学の農学部あるいは農林工学系の教授が兼任している。
「しっかりしたマニュアルがあるので、特に大変なことはありません。毎年、やることは決まっていますし……。稲が育ってくれないと困りますから、やはり天候は気になりますね」と、高橋宏和教諭。中学1年の担任、教科は理科を担当している。
ケルネル田んぼにおける駒場中・高等学校の水田学習は70年の歴史をもつ。耕作は毎年、中学1年生と高校1年生が担当する。約17a8枚の田んぼのうち3枚を中学1年(3クラス計123名)が、5枚を高校1年生(4クラス計165名)が耕す。
「中学生と高校生ではパワーも違うし、慣れもあるので田植えも稲刈りも高校生のほうが断然早いですよ」
高橋教諭は水田委員会の委員も務めている。水田委員は1クラスから4名ずつ選出された生徒と、技術・家庭科の担当教諭、総務部の教職員、高校1年と中学1年の教諭1名ずつで構成されている。(続きを読む
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