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「ファーム・インさぎ山」萩原さとみ様からのメッセージ

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 平成14年3月「ぜひ、うちの生徒に農業体験をさせてください」と神谷中学校の校長先生が訪ねてこられました。前年に都内の筑波大学附属中学校の社会科見学を受入れてもいたので、二つ返事で快諾しました。

 しかし、その後情報収集も不十分なまま即答した自分の浅はかさを知るのに時間はかかりませんでした。中学校の総合学習で年間を通して農業体験授業を行うのは、私はもちろん先生方も初めてのことで、試行錯誤の連続だったのです。

 まず、夏場には一週間に10cmも伸びてしまう雑草との戦いが深刻でした。里芋、サツマイモ、や茄子などの夏野菜を植え付けたあと、生徒が毎日来たりはしません。代わりの誰かが世話をしなければならないのです。炎天下に一人で黙々と除草作業をしていた学生主任の先生の姿が、今でも目に焼き付いています。

 平成15年には田んぼ体験も加わりました。

おばちゃん、来てくれたの

 そして何より、土といえば花壇の土ぐらいしか知らず、農具など見たこともさわったこともない都会の中学生に、畑の入り方から耕し方、そして道具の使い方などを教えることの難しさ。中学生たちは、必ずしもこちらの意図どおりに従順に動いてなどくれません。

 特にこのころ、同校は羽目をはずす生徒が多い、手の焼ける時期だったようです。あれ程注意したのに、畑の中に鎌が埋めてあったり、仮設の橋が川に落としてあったり。それでも、「一切の責任は私がもちます」ときっぱりおっしゃった校長先生の体験学習に挑む強い信念に応えようと、中学生との農業体験を続けていきました。そんな彼らの様々な行動が卒業式に招かれたその日に思い出され、併せて「おばちゃん、来てくれたの」の一言に止まらない涙となって流れ出たのでした。

畑を耕す、心を耕す

 人の命をつなぐ農業体験を総合学習に取り入れ、教職員、PTA、地域が一丸となって「心の教育」に取り組んだ神谷中学校。近年は見違えるようにやさしさと思いやりのあふれる学校です。自然と共生する農業は、子どもたちにも大きな力を与えました。畑を耕すことが心を耕すことに通じたのかも知れません。「学力」の工場も大切ですが、体験を通じて豊かな心を育てることが軽んじられてはいけません。食農教育が今後さらに日本のあちこちで展開されることを、これまでの取組みを通じて切望しています。

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