(4)いい植林、悪い植林
森林問題が話題になるとき、よく、「伐ったらその分また植えたらいいじゃないか」という話が出ます。しかしこれは、人工林であれば通用する話ですが、原生林や原生林に近い生態系を持つ天然林では、「木を見て森を見ず」のような提案でしかありません。
森林には、多くの生きものが棲んでいます。日本の森で言えば、クマ(本州はツキノワグマ、北海道ではヒグマ)、やシカ(ニホンジカ、カモシカ)、イノシシ、タヌキ、ノウサギ、リス(ホンドリス)、ノネズミ、ヤマネ、それ以外にも昆虫や植物等、大小さまざまな生きものが生息しています。木を伐って植え直すということは、その次の森が育つ何十年か何百年かの先の先まで、それらの動植物に「ここには棲めないよ」ということを強制するのと同じような意味合いを持ちます。中には、「その森」の「その生態系」でないと棲めないといった生物種がいる可能性もあります。
新たに植える手間を考えるのであれば、今現在手入れもされず放置されている人工林に労力を割くことや、その林産物を上手く活用することを考える方が、はるかに建設的ではないでしょうか。
子どもたちが森林問題や環境問題を学ぶときには、地域の動植物がどうなるのか、といった視点からの学びも踏まえて行うことが大切です。
第1章 今なぜ、子どもたちに森林・林業体験が必要か
1. 子どもたちがイメージする森林と現実の森林の違い
2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」
3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」
4. 森林・林業の基礎的データ
5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係
(1)日本の森林・世界の森林と地球環境
(2)戦後の産業植林と木材輸入
(3)環境面から見る日本の森林・林業の意義
(4)いい植林、悪い植林
(5)日本の林業の将来像〜グローバリゼーションの中の日本林業
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